これから、不動産投資を行うには、借地借家法を知らなければなりません。ただし、すべてを覚える必要はないのでポイントだけ説明しますね。
不動産投資初心者が知っておきたい知識
ポイント1.賃貸人(大家さん)から賃貸借契約を解除するには正当事由が必要です。
不動産を購入し貸し付けるということは、仮にワンルーム一部屋でも不動産賃貸業になります。その場合、当然に借地借家法の適用を受けます。
そして、賃貸借契約ですが、通常2年間の賃貸借契約を締結すると思いますが、賃貸人(大家さん)が契約期間満了により契約の解除を申し出ても、賃借人が拒否すると退去させられません。
そして、退去の合意がなされないまま、期間が過ぎた場合は、「法定更新」がなされたとみなされてしまいます。法定更新は期間の定めがないことになるんです。
借地借家法617条1項では、「期間の定めがないときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れができる」とされています。
なぁんだ、解約できるんじゃないか!と声が聞こえそうです。まだ、続きがあって、借地借家法28条では、賃貸人がこの更新拒絶の通知を行うためには、正当事由が必要になるんです。
そして以下の理由は正当事由とはみなされません。
- 親族が使用したい
- 売却する場合、空き部屋の方が高く売れる
- サブリース契約は賃料が安いので解除したい
・・・・など
※ただ、補完的に立退料が正当事由に認められる場合もあります。
何が言いたいのかというと、賃貸人(大家さん)の都合で解約をするのは、簡単にはいきません。
なかには、素直な賃借人がいて、賃貸人が言うのであれば、退去する方もいます。これから、不動産賃貸業を始められるには、必要な知識です。
ぜひ覚えてください。ちなみに、サブリース契約も同じ適用になります。
また、どうしてもサブリース会社を解除する場合、かなり高い立退料を要求してきますので覚悟が必要です。
ポイント2.賃貸人(大家さん)の法定義務があります。
賃貸人(大家さん)と賃借人は、債権債務の関係にあります。賃貸人(大家さん)は、賃借人に目的物の使用収益させる義務を負います。賃借人は賃料を支払う義務、建物を保管する義務を負います。
賃貸人(大家さん)の義務は以下の通りです。
- 目的物引き渡し義務
- 修繕義務
- 妨害排除義務
(大家さんが修繕をしなかった場合、賃借人は損害賠償の請求および賃料の全部または一部の支払いを拒絶できます。)
(大家さんは、賃借人に対して目的物を使用収益の義務を負うことから、第三者が賃借人の使用収益を妨げる行為をした場合には、大家さんはその妨害を除去するようにしなければなりません。)
※先日、川崎市において台風19号の被害で武蔵小杉駅のタワーマンションが被害にあい、電気系統がストップして住むことができない事がありましたね。
もしこのマンションを購入して賃貸に出されていた場合、上記の責任は大家さんが持たなければなりませんね。
筆者も以前、アパートを賃貸中に、近隣で建物解体を行った家からネズミが筆者のアパートに移動してきたようで、賃借人からクレームが来ました。
その賃借人はネズミが大っ嫌いなようで一時近くのホテルに移動して頂き、ネズミ駆除業者を手配して除去した経験があります。100万円ぐらい出費しましたよ(>_<)
賃貸人(大家さん)は以上のような義務を負いますし、不動産賃貸業は意外に厳しいです。安易な気持ちで不動産投資をおこなうと大けがをしますので、必ず覚えてください。
さいごに
以上が筆者の不動産会勤務経験20年以上の経験で、新人大家さんが勘違いしている内容の多いものを書かせていただきました。
そのほかにも、借地借家法でいろいろな責任が生じますが、まずは今回の内容は最低限理解して大家業で安定した収入を得てください。
不動産投資の成功の一助になれば幸いです。